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help リーダーに追加 RSS 武田の杜薪能 「風・林・火・山」 シリーズ終了! 〜其の弐〜

<<   作成日時 : 2008/06/11 21:40   >>

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いよいよ本番の2時間ほど前―――。会場内を何気なく見て廻っていた私の頬に、何やらつめたい滴が・・・・・・。

「もしや? いや、そんなことは絶対にない!断じてない!!」

必死に心の中で繰り返しましたが、お天気の神様は待ってはくれませんでした。


午後5時の開場の時点では、完全に降雨の状態でした。万が一に備え、客席の後方に設えた雨避け用のテント内にも、何人かの方が入っていらっしゃいました。

しかし、ここに来て慌てても仕方がありません。内心では、お客様にかけてしまうご迷惑に、もはや自分の役を演ずるどころではないくらい動揺してしまいましたが、既に子役たちの装束着けも始まった以上、腹を決めるしかないと自分に言い聞かせ、あとはひたすらに天候の回復を祈り続けました。

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※小雨がぱらつく中、少しでもお客様の足元に水が溜まらないようにと、現場スタッフの皆様が懸命に砂利を整えて下さいました。本当に有難うございました。


それでも、ご神事である「火入れ」は決行。今回も、武田のご祭神を乗せた篝火を灯すことが出来たことは、何よりも嬉しかったです。

初番の能の開演時間を当初より10分ほど遅らせ、いよいよ能「鞍馬天狗」がスタート。山伏に扮した私が舞台に入って客席を見渡した時、なんと雨天にもかかわらず雨合羽を身につけた実に多くのお客様が見所にびっしりとお座りになっていた様子に、思わず胸が熱くなるのを感じました。

同時に、ついさっきまで雨模様に気分が沈みかけていた自分を心の中で叱咤し、これほどまでに楽しみにして下さっているお客様のお気持ちに応えるためにも、この舞台を全身全霊で務め上げることを強く誓いました。

さて、暫くして今回のまさに主眼とも言うべき「子方」たちの登場。実はこの時、私は後見座で後ろ向きに座っているため、本番では子供たちの様子が全く見ることが出来ないのです!(泣)それでも、これまでの稽古をしっかりと積んできた名子役たちの演技は、背中からも充分に感じ取ることが出来ました。

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※全ての装束を身に着けた、地元小学校の子方たち。武田の杜を華々しく彩ってくれました。


子方が舞台上に入る時間は約10分ほど。ややして立ち去っていく稚児たちを同じく背中で感じながら、花見の席で一人取り残される山伏の気持ちを、リアルに感ぜずにはいられませんでした。

さて、その後は牛若丸役の「池谷君」と、1対1の演技です。以前のブログ記事にも書きましたが、この池谷君は本当に大人顔負けの立派な謡い声の持ち主。本番でも全く気後れすることなく、堂々の演技を見せてくれました!これには私も、本当に大いなる力をもらいました。

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前半が終了し、中入り(装束を着替えるための一時退場)。この能では、牛若丸の役も、シテと同じく中入りし、装束を着替えます。その間に「アイ狂言」が登場するのですが、通常、この中入りの時間は平均して10分前後。その間に、装束を完全に着替え終えなければなりません。その状況はまさに楽屋内の「格闘」。大人でも疲れてしまいがちなのですが、池谷君は小学生の上に初の能体験! それでも、後半も変わらず堂々の演技で、お客様を圧倒していました。

そして私も、かなりの「重装備」と言われる「大天狗」の扮装で登場。持てる力の全てを出し切る覚悟で、舞台に臨みました。

この「天狗」の装束。重いのも確かなのですが、何より辛いのが「べしみ」の面。「鞍馬天狗」では「大べしみ」を用いるのですが、この「べしみ」系統の面は、すべて口が開いていないのです。
ですので、謡を謡う時も、よほどに工夫をしなければ声が通りません。しかも息苦しいこと、この上なし。それでも、今回の舞台を立派に頑張った子供たちが客席で見ている以上、自分が見苦しいところを露呈するわけには行きません。精一杯に務めさせて頂きました。

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※「鞍馬天狗」の終曲部分。後半約20分の間、牛若丸の役はずっと直立のまま。本当に良く頑張ってくれました!



                            〜其の参へ続く〜





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